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交わらないリズム 出会いとすれ違いの現象学|村上靖彦

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■著者
村上靖彦

■内容
現象学者がケアの現場で聞いた人々の声と哲学の問いとの交差点――。
看取りに「だんだん」向かう患者の衰弱、無目的に存在が肯定される大阪・西成の子どもたちの居場所、芥川龍之介「藪の中」に描き出される身体の余白、ピアノを演奏することを通して周りとリズムを合わせられるようになる統合失調症の患者、「まだあったかい」母親の遺体に触れる3人の娘。
長年、医療・福祉の現場で人の語りに耳を傾け続けてきた現象学者が人間のうつろいゆく生を素描する、鮮やかな生のポリリズム。

■目次
プレリュード――リズムとしての生

第Ⅰ部 ポリリズムとしての人間
第1章 中井久夫と生活のポリリズム
1 リズム一元論かつ多元論
2 リズムの場
3 運と偶然

第2章 木村敏と音楽――対人のポリリズム
1 「音の河」とからっぽの「心の中」
2 アンテ・フェストゥムからポリリズムへ
3 あいだ――深層のポリリズムから表層のポリリズムへ

第3章 居場所とリズムのゆるみ
1 居場所と無為
2 居場所のリズム
3 居場所と内包的な空間構造

第Ⅱ部 身体の余白と出会いのタイミング
第4章 ポリリズムを生む身体の余白――芥川龍之介「藪の中」
1 状況の穴とナラティブの錯綜
2 「藪の中」前半、〈藪の外〉の分析
3 後半〈藪の中〉の殺人現場の分析

第5章 リズムが組みかわるタイミングについて――ある精神科病棟でのバンド・セッション
1 移行対象とポリリズム
2 ある精神疾患患者とピアノ
3 ポリリズム、タイミングと対人関係の再編成

第6章 変化の触媒としての支援者
1 予後告知と状況の変化の触媒としての支援者
2 変化のタイミングと変化の支点
3 変化の触媒

第Ⅲ部 メロディーについて
第7章『うたのはじまり』
1 子守唄の始まり
2 声

第8章 歌によって人とつながる――ルソー、メロディーとしての人間
1 ラモーとペルゴレージ
2 歌によって人はつながる
3 模倣――人間の誕生
4 〈生〉の次元としてのメロディー

第9章 独りになるための歌――ジャン・ジュネ
1 歌とは何か
2 歌の条件
3 歌――二人になることで独りになる技術

第Ⅳ部 ポリリズムの哲学

第10章 現象学をベルクソン化する――現象学的な質的研究(PQR)の方法
1 現象学的な質的研究(PQR)とリズム
2 イマージュと現象
3 個別事例によってたつ真理――触発と潜在性の地平

第11章 カオスからリズムが生まれる――マルディネとリズムの存在論
1カオスに降りる
2 形を作る
3 形の産出の基点となる「そこ」/出来事の場としての「そこ」

コーダ
あとがき――本書が論じなかったもの

初出一覧
参考文献
索引

■抜粋
子どものころから音楽が好きだったためか、私は音楽から事象を考える癖がある。哲学研究の訓練を受け、医療福祉現場の質的研究を行うようになったいまでも、気がつくと音楽のメタファーを用いて考えていることが多い。
しかし音楽は本当に単なるメタファーなのだろうか。リズムやメロディー、ハモるかハモらないか、タイミングが合うか合わないか、(出番で入りそこねて)落ちる、息がもたない、抑揚、歌う、精緻さ、といった楽器を練習していたときに意識していたことは、もしかすると音楽を奏でることだけでなく人間の経験の骨組みを表しているのではないだろうか。そもそも人間の経験は音楽的に組み立てられているのではないか、だからこそあらゆる文化は音楽を生み出したのではないか。(p.9)

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