
言葉の魂の哲学|古田徹也
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■著者
古田徹也
■内容
中島敦の小説「文字禍」、ホーフマンスタールの小説「チャンドス卿の手紙」。この二つの作品に描かれたいわゆる「ゲシュタルト崩壊」、すなわち、文字が意味や表情を失って見える現象をてがかりに、ウィトゲンシュタインの言語論に新しい視座を与え、カール・クラウスの言語論に、すぐれて現代的な意味を見出す。清新な言語哲学の登場!
言葉が表情を失うことがある。たとえば、「今」という字をじっと見つめ続けたり、あるいは、「今、今、今、今、今、今・・・」と延々書き続けたりすると、なじみのあるはずの言葉が突然、たんなる線の寄せ集めに見えてくる。一般に、「ゲシュタルト崩壊」といわれる現象だ。
逆に、言葉が魂が入ったように表情を宿し、胸を打つようになることがある。こういう現象を、どうとらえたらいいのだろうか。魂のある言葉とは、どのようなものか。
本書は、中島敦とホーフマンスタールの二編の小説からはじまる。いずれも、「ゲシュタルト崩壊」をあつかった作品である。
ついで、ウィトゲンシュタインの言語論を検証する。かれが「魂なき言語と魂ある言語」といったとき、どのような哲学が展開されるか。
そして、最後に、カール・クラウスの言語論を考える。
生涯をかけて、言語批判をつらぬいたクラウスの思想とは、どのようなものだったか。
それは、「常套句に抗する」ことで、世の中をかえようとする試みでもあった。
以上の三つの核によりそいながら、「命ある言葉」とはなにかを哲学する力作。
■目次
第1章 ヴェールとしての言葉――言語不信の諸相
1.中島敦「文字禍」とその周辺
2.ホーフマンスタール「チャンドス卿の手紙」とその周辺
第2章 魂あるものとしての言葉――ウィトゲンシュタインの言語論を中心に
1.使用・体験・理解
2.言葉の立体的理解
3.「アスペクト盲」の人は何を失うのか
第3章 かたち成すものとしての言葉――カール・クラウスの言語論が示すもの
1.クラウスによる言語「批判」
2.言葉を選び取る責任
■抜粋
立方体や角柱、角錐などの多面体は、複数の平面が組み合わさることで奥行きのある立方体な図形として成立している。これと同様に、我々は個々の言葉を、多様な側面から構成される立体として把握することができる。より正確に言えば、我々はまず、類似しつつ別の意味をもった様々な言葉を順に辿っていく。そして、それらを見渡すことによって、そこに一個の有機的全体を見る展望が得られる。すなわち、多様な意味を側面や背面にもちながら、そのつど特定の意味が前面に立つ多面体それ自体として、言葉の輪郭を捉えることができるのである。(p.99)
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